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ワンちゃんの乗り物酔いについて

こんにちは、院長の大井です。

 

気温も上がってきて、わんちゃんの散歩には気持ちいい季節になってきましたね。

車でお出かけする方も多いでしょう。もうすぐ10連休もありますしね。

 

さて、先日、わんちゃんの車酔いについて患者さんに聞かれました。わんちゃんと車でお出かけも多くなるこの季節、今回は車酔いについてです。

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車が大好きで自分から車に乗り込んでいくようなわんちゃんの場合は、「犬にも車酔いあるんだ~」って感じかもしれませんが、実際のところ結構あります。病院に来るたびに、吐いてしまうわんちゃんもいたりして、悩まれている方も多いです。

 

車酔いの症状

・生あくび

・よだれ

・嚥下(唾をのむ)

・嘔吐

 

などです。嘔吐だけが症状ではないんですね。症状が軽い子は、生あくびだけだったりしますが、確実に嘔吐中枢が刺激されてます。発症の機序がはっきりしているわけではないですが、自分が意思とは関係なく揺られることで、三半規管が刺激され、結果として平衡感覚や自律神経の働きが乱れることが原因と言われています。揺れることだけでなく、何度も車酔いを経験しているわんちゃんは、車のにおいや振動などを、悪い記憶として関連付けていることもあります。

 

対策

①車に乗る前は食事は控える…空腹も満腹も、乗り物酔いのなりやすい条件です。車に乗る前2時間前までには食事を済ませるといいでしょう。早朝の出発で2時間は見れない場合でも、絶食よりは、できるだけ早めに少量の食事をとらせておくといいです。

 

②こまめに休憩する…車酔いの症状は段階的に強くなってくるケースが多いです。どうせ酔うのだから、休憩なしでさっさと到着すると考えるスパルタな方もいるかもしれませんが、やめましょう。休憩するだけで症状が落ち着くので、ぜひこまめに休憩をとってあげてください。

 

③換気をよくする…外の新鮮な空気を吸うだけで自律神経の乱れが整いやすくなります。また、車のにおいが乗り物酔いの刺激になる子もいますので、お出かけ前には車内をきれいにしておきましょう。

 

④車のゆれ、わんちゃんの動きをできるだけ少なくする…車が揺れて、三半規管が乱れることが根本的な問題ですので、できるだけ、ゆったりとした運転を心がけましょう。また、車内ではわんちゃんができるだけ安心できるようにしてあげてください。不安も乗り物酔いの原因になります。飼い主さんに抱っこされて落ち着く子であればそれがいいでしょうし、ケージが好きな子であればケージの中がいいと思います。わんちゃん用のシートベルトなどもあり、わんちゃんを座席に固定してくれますので有効ですが、あらかじめ慣らしてから使うようにしましょう。

 

⑤酔い止めを飲む…車に慣れて、楽しく車に乗り込むように、訓練してもらうのが一番ですが、いざという時には薬もあります。移動の1時間前に飲むようにしましょう。症状によって使う薬も変わるので、詳しくはご相談ください。

 

実際に症状がでたら 

実際に、車に乗せていて吐いてしまったときは、さっと吐物を処理しましょう。できるだけ早めに休憩をしてください。落ち着いて水が飲める状態なら飲ませてあげましょう。15~30分程度で普通は症状は落ち着きます。症状が落ち着くのを待ってから、再出発してあげてください。嘔吐の回数が多かったり、休憩しても状態が良くならない場合は、脱水症状を起こしている場合も考えられますので、できるだけ早く、獣医さんに診てもらうべきですが、出先では簡単ではありません。すでに車酔いすることがわかっていて、症状が強い子は、あらかじめ酔い止めを処方してもらうと安心ですね。

 

車酔いをしない子にすするためには

一番大事なのは、車に慣らすことです。「車に乗るのは病院に行くときだけ」では、車は楽しくなりません。小さいころから車に慣れ、楽しいことと関連付けていくことが、大事です。生まれつきの酔いやすい体質というのもあると思いますが、ある程度は人がコントロールできる部分もあると思います。

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また、車酔いとは別で、単に車が怖い子もいますので、しつけの意味でも車に慣らすことは大切ですね。ちなみにうちのチョコラは3か月から車によく乗っていました。どこに行くにも連れまわしてましたので、車が大好き。車のドアを開けると喜んで乗っていきます。モータンは1歳くらいまであまり車に乗る経験がありませんでした。怖いようで、エンジンがかかると震えます。モータンの場合は車酔いというよりは車嫌いですね。車酔いより治すのは大変です。小さいうちから慣らすことがやっぱり大事です。

 

車で楽しくお出かけできるようになると、ドッグライフの幅がぐっと広がります。車酔いする子も、しない子も、こまめに休憩をして、楽しくドライブできるといいですね。