こんにちは。獣医師の奏子です。
今日は、いろはで行っているリハビリの一部をご紹介したいと思います。
リハビリとは正しくはリハビリテーション
Re-再び
Habilis-適した
Ation-動作、状態
に戻すことをいいます。
これは、手術や障害によって落ちた機能を回復させる手助けの意味もありますし、年齢とともに落ちていく筋力や機能を少しでも維持し低下のスピードを緩やかにさせていくことも意味すると考えています。
さて、今回写真のモデルになっていただいたランちゃんです。
前十字靭帯を断裂し、手術をおこないました。
実はランちゃん、反対足の靭帯を3か月前に損傷しているため、数か月の間に2回の手術を経験しました。
そのため、両側とも筋力が低下していることや、後肢をかばうために前肢に負担がかかり筋肉が常にこわばっている状態にあったため、退院後も週2回のペースでリハビリをおこなっていくことになりました。
術後3週目のリハビリの様子です。
まず、患肢を中心に赤外線レーザーを当てていきます。
血流を促進し、損傷した部位の修復を早める効果があると言われています。
ランちゃん、いい表情してますね(^.^)
次にマッサージを行います。
ランちゃんの場合、術後の入院中から前肢を中心に筋肉のこわばりが強く見られたため、特に前肢を中心にマッサージしていきます。
マッサージにはいろいろな効果があると言われていますが、術後の子のケアの場合、手術部位よりも、そこをかばうために負担がかかっている部位をケアすることで、負担によりおこる2次的な弊害(関節炎など)をおこりにくくする効果があると考えています。
例えば私たちも、右足を捻挫しかばって歩くと左足が張ったり疲れやすくなりますよね。そこをケアしてあげることも生活を維持するために大切なことだと考えています。
全身の筋肉がほぐれたところで、最後に少し後肢の筋力を取り戻すためのトレーニングをしました。
前肢を不安定な状態にすることで、後肢に自然と力が入ります。
人はあえて痛い足をリハビリのために使って歩く、ということが会話で理解できますが、ワンちゃんの場合、痛ければその足を挙げて歩くので、筋力が戻るのに時間がかかることがあります。こうして、タイミングをみながら強制的に負重させることで、筋力を少しでもつけるのはもちろんですが、足を使えるという感覚を取り戻す意味もあると思っています。
このような流れで今日のリハビリは終了、ランちゃんお疲れ様!
今回のリハビリは1例です。おなじ手術でも、年齢やその子の性格、身体の状態に合わせて内容は異なってきます。
また、術後に関係なく、例えばシニア犬のケアの1つとしてもマッサージなどおこなっております。
気なる方、興味がある方はお気軽にお声かけくださいね(*^-^*)