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毛玉(毛球症)予防について

こんにちは。暑い日が続きますね。

 

久しぶりの更新になってしまいましたが、今日は、最近の診察で多かった「毛球症」について書いてみたいと思います。

 

毛球症とは…

毛球症とは、グルーミングによって飲み込んでしまった自分の被毛が、胃や腸の中で起こす消化管トラブルのことです。食欲不振や嘔吐などが主な症状ですが、最悪の場合、腸に毛玉が詰まって手術で取り除くしかない場合もあります。つまり、自分の毛ですが、消化管内異物となります。猫、ウサギ、フェレットに多いトラブルですが、被毛が長く、細く、抜け毛が多く、毛繕いが好きな子ほどなりやすいです。特に換毛期には、注意が必要ですね。

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被毛が胃の中で絡まると、こんな感じの毛玉になります(写真はフェルトです)。

胃や腸の中ではこの毛玉がギューギューに押しつぶされた状態で硬くなっています。

腸を通過できる大きさは、体格によって違いますが、猫でもおそらく1㎝程度です。そう考えると、吐き出せない、ほぐれない毛玉は、手術でとるしかないです。

 

関係ないですが、うちの猫はこのフェルトのボールが大好物です。好きすぎて油断すると食べます。そして吐きます。自ら毛玉を摂取するおバカちゃんは意外と多いです。気を付けましょうね。

 

動物別に見た毛球症

 

猫の場合は、定期的に嘔吐で毛玉を吐き出すことで処理できるケースが多いですが、すっきり吐き出せない場合は、元気がなくなったり、食欲がなくなったりします。稀に腸閉塞を起こし、手術が必要になるケースもあります。

 

ウサギの場合は嘔吐することができませんので、胃の中に毛玉ができると、どんどん大きな毛玉に成長していきます。大きいと、テニスボールほどの大きさまで毛玉が大きくなる事もあります。一度できた毛玉をほぐして便として出すのは非常に時間がかかる上にその期間動物の苦痛となり、最悪死に至るケースもあります。手術で毛玉を摘出せざるを得ない場合もありますが、重症な子ほど、麻酔リスクも高く、ほかの動物の手術と比べると格段に術後の死亡率も高くなってしまいます。ほかの動物では、毛球症が命を脅かすことは稀ですが、うさぎの場合は毛球症で命を落とすケースも多いです。その点を踏まえると、毛球症対策、予防が一番大事な動物です。

 

フェレットにも毛球症は起きます。好奇心旺盛で詮索好きなフェレットは、おもちゃなどの消化できないものを飲み込んで腸閉塞を起こすことがよくあります。腸閉塞を起こす原因の一つに毛玉が挙げられます。

 

でも毛球症になった症例を見た事がありますが、かなり稀なケースですので、基本的には猫、ウサギ、フェレットで起こるトラブルです。

 

毛球症になった場合は…

毛球症になった場合は、基本的には毛玉が流れやすくするような潤滑剤の投与や対症療法で対処できる場合もありますが、完全な腸閉塞を起こした場合は、手術で毛玉を取り除く以外方法はありません。猫、フェレットの場合、最悪でも手術をすることですっきり解決しますが、ウサギの場合は、腸閉塞を起こした時点で状態がかなり悪いケースが多く、術中、術後の死亡率も高いです。飲み込んでしまった毛が、胃の中で毛玉になる前に便としてスムーズに排泄すること、つまり毛玉予防が大切です。

 

毛球症予防の方法は…

 

1.こまめにブラッシングをする(飲み込む毛を減らす)

特に換毛期は1日1~2回はブラッシングをしましょう。

口から入る毛を減らす事が一番効果的です。

ブラシやスリッカーを嫌がる子はいつもより多く撫でてあげるだけでもいいです。

 

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2.高繊維食にする(猫)

食物繊維を多くとることで、繊維が毛と絡み便として一緒に排泄しやすくなります。

ドライフードの中には、毛玉の蓄積を抑える毛玉ケアのフードも多く販売されています。良く毛玉を吐く子は、うんちによく毛が絡んでいる子は、毛玉に配慮されたフードを選びましょう。

 

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3.いたずら食いを減らす

ペットシーツの端、ケージ内のプラスチックなどをかじってしまうウサギやフェレットは多いです。もともと食物繊維を多くするウサギさんは、便の量も多く、飲み込んだ毛も一緒に排泄されやすい体質を持っています。しかし、消化できないものを食べると、それが核となり毛玉が形成されます。

 

3.毛球予防のサプリメントを与える

毛球症対策のサプリメントがたくさん売られていますので、利用してみるのもひとつです。いくつかのタイプがありますが、腸で溶けず、吸収もされない物質(流動パラフィン、ワセリン等)、パパイヤやパイナップルのドライフルーツ、乳酸菌などいろいろあります。

当院で治療兼予防に使っている毛玉ケアのサプリメントは、チキン風味の「CATLAX」、甘い「ラキサトーン」です。主成分は、流動パラフィンやワセリンです。

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症状によって使う量や頻度は違いますので、あくまで目安となりますが、予防的な投与の場合、

で与えます。換毛期や毛球症のリスクが高い時期は投与頻度を毎日に増やします。実際に毛玉の形成が認められた場合は、上記の量の1.5~2倍量を与えます。

 

ちなみに、1gは大体このくらいです。↓

 

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味が気に入った子は喜んで舐めてくれます。

自分から食べない子は、歯茎に塗り付けたり、ウサギなら前脚につけて舐めとらせます。

 

まとめ

一度形成された毛玉は、排泄するのがとても大変です。

実際に調子が悪いときは、早めの治療が大切ですが、予防が一番大事です。

正しい知識で、きちんと予防しましょう。